進行癌について
図S(1、2、3)は胃の進行癌、図E(1、2)は食道の進行癌です。このような状態になると、手術(食道癌は状況により放射線治療)が必要です。完治(完全に治る)する可能性は胃が50%、食道では15%前後です。
- (S-1)胃の進行癌【腫瘤(しゅりゅう)】
表面が粗く、ゴツゴツと盛り上がり、こぶの形をした癌です - (S-2)潰瘍(かいよう)
粘膜がえぐれて、潰瘍の形をした癌です。汚らしい潰瘍の底と辺緑(境界)が悪性の特徴です。 - (S-3)びまん浸潤(しんじゅん)
「スキルス胃癌」と言われるものです。ギラギラと赤い表面。
腫瘤や潰瘍は目立ちませんが、癌は粘膜の裏側に広く(びまん性)進行(浸潤)してます。
胃全体が硬くなり、胃のヒダが太くなってます(巨大ヒダ)。非常に悪性です。
- (E-1)食道の進行癌
汚らしい潰瘍と、その境界部の少し盛り上がった部分が癌です。 - (E-2)
不明瞭な輪郭で、汚らしく赤くデコボコと盛り上がったところが、癌の一部です。食道上皮の裏側へ病変が広がっていると思われます。
胃も食道も、早期癌では自覚症状がありません。胃や食道の癌で症状のある場合は、すでに進行癌となっていることが多くあります。
しかし、腹痛・胸焼け等があっても、実際には癌でないことのほうがはるかに多く、検査を受けて癌の有無を確認しておくことは大切です。進行した胃癌でも50%は完治するのです。また、最近では手術方法も改善されて、手術および術後の負担も少なくなり、入院期間も短くなっています。
早期癌について
図A(1、2、3)は胃の早期癌です。
- (A-1)胃の早期癌
赤いまだらのような部分が病変部(癌)です - (A-2)未分化型早期癌
周囲より多少白っぽい(褪色)部分が癌です。色が僅かに違うことが主な特徴で、悪性と云う印象が明らかではない。
しかし、これは悪性度の高い(未分化)癌なのです。内視鏡検査で見落され易いのですが、何よりも早期発見が大切。 - (A-3a)
胃の出口(幽門)付近です。
多少デコボコしている部分が病変部です。
- (A-3b)特殊光(NBI)観察
(A特殊光(NBI)で見ると、デコボコしていることが分かりやすくなります)
図B(1、2)は食道の早期癌です。
- (B-1a)頚部食道の早期癌
分かりずらい病変部(早期癌)
僅かに周囲より赤い部分が病変部です。
これは頚部にある食道(口に近い部分の食道)の早期癌であり、特に見落とされてしまうことが多いものです。 - (B-1b)特殊光(NBI)観察
(B-1a)を特殊光(NBI)で観察したもの。病変部が濃い”シミ”となり、わかりやすくなります。 - (B-2a)中部食道の早期癌
赤いマダラのような病変部(早期癌)
- (B-2b)ルゴール染色
(B-2b)の病変部にルゴール液(色素)をまいて(撒布)検査。
白い部分が病変部で輪郭が明確になります。ルゴール液では病変部は染まりません(不染帯)。病変周囲の正常な食道上皮が茶褐色に染まり、相対的に病変部は白く見えます。
胃の早期癌は、内視鏡のみで治療できることが多くなりました。手術が必要とされても、手術で100%完治できます。
食道の場合、食道癌を早期に発見され、内視鏡のみで治療できれば、治療の負担はとても少なく、完治する可能性も100%近いものがあります。「食道の早期癌を発見されて、内視鏡のみで治療できた場合、発見した医師はあなたの生涯の恩人のひとりといっても過言ではないでしょう」。なぜならば、食道癌で手術が必要な場合、その手術はいわゆる大手術となり、身体への負担がとても大きくなるからです。
さて、以上の他に十二指腸にも癌が発生することがあります。極めてまれです。
十二指腸の早期癌
- 十二指腸の早期癌
平べったい、協会のゴツゴツした部分が病変部(早期癌) - 色素散布
病変部に色素(インジゴカルミン)をまいて検査。
病変部の輪郭が少し明確になってます。
「家族や大切な人の健康が心配な時、すぐに医師を受診するように勧めるでしょう」。「あなた本人の健康も勿論大切なのです。自らも病(医)院に足を運んで下さい」。
大切なのは、早期発見・早期治療
その為には検査を受けなければなりません。ためらわずに、受診の決心をして、信頼できる医師を探して受診して下さい。
今、胃癌は恐ろしい病気ではなくなってきているのです。繰り返しますが「胃カメラを受けて、異常がなくても損はしないのです」。確実な安心が得られます。
検査を受けて、スッキリ爽やかで、安心な毎日を送って下さい。